2009年11月27日金曜日

人生のネタバレにご用心

インターネットは実に便利だ。

が、便利で都合のいい情報ばかりが公開されているわけでは、ない。
知らなくてもいい情報、知らないほうがいい情報も、無数にある。

例えば。
映画館の上映時間を調べようとすると、ほんの数クリックで批評サイトにたどり着く。
そこで【以下ネタバレ注意!】と書かれた文章を、よせばいいのに、つい見てしまう。
3時間を超える超大作でも、わずか数行のネタを見てしまえば、なんだかその映画を観てしまった感じがして、結局、劇場に足を運ばなかったり。

そのくらいならまだ、いい。
最近のネット上には、『人生のネタバレ』も豊富に公開されている。

「結婚するってことは、実はどうなの?」
「この会社の面接を受けようと思うんだけど、どうかな?」
「この商品の原価はどのくらい?」

そういった質問に、関係者、経験者が実に詳しく、丁寧に説明してくれている。

そんな情報を見ると、へえ~と思うのと同時に、(私は)不思議な感覚に陥る。
これは口(文章)ではうまく表現できないのだが、『絶望』と言ってもいいかもしれない。
夢がなくなるといったらいいのか、なんと表現したらよいのか・・。

そうだ、手品に例えると、わかりやすいかもしれない。
どうなってるの? 不思議だなあと思っている時が1番楽しいし、ワクワクもする。
しかし、一旦、そのタネを見てしまえば、「なーんだ!」と一気にさめてしまう。

手品を見る度に、事前に、タネをあかされるとしたら・・・。

知らなくてもいいことがある。知らなければよかったこともある。
自分で体験、経験したほうがいいこともある。
人はそう感じたけれど、自分はそう感じないかもしれない。

人生のネタバレばかり見ていると、(手品がそうであるように)ワクワクしないし、夢がなくなるような気がする。
最悪、自分の夢や希望を奪われかねない。

映画「時計じかけのオレンジ」で(強制的に)映像を見せ続けるシーンがあるが、それに近いものがあるのかも。

(C)ワーナー・ホーム・ビデオ

だから、人生のネタバレは、極力見ないほうがいいと、私は思うのだ。

陶芸家の河井寛次郎が、こんな言葉を残している。
「何もない、見ればある」と。

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