2月14日より(紙媒体の)「産経新聞」を購読し始めた。
きっかけは、
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iPhone/iPod touch用アプリ
産経新聞 カテゴリ:ニュース
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こちらから。
当初自分だけ読んでいたのだが、母親が「私も読ませて」と言い、老眼鏡をかけながら
iPhoneを懸命にタップしている姿を見て、よしッ!と紙媒体の新聞の購読を決意した。
購読初日。まだ薄暗い空。お湯を沸かし、珈琲の準備をした。
実は(なぜかワクワクして)早めに目が覚めてしまったのだ。
ぶうーん。ガチャ(スタンドを立てる音)ぶうーん。
少しずつ、原付バイクの音が近づいてくる。
いよいよだ!
「カチャっ」とするかしないかの静かな音を残し、原付は遠ざかっていった。
玄関まで走る! あった! そして(新聞を)小脇にかかえ、所定の位置へ。
ページをめくる、お目当てはマンガ「ひなちゃんの日常」だ。
このマンガの作者、南ひろこさんは天才だ。人がカワイイ! と感じるツボを心得ている。
後から起きてきた母親も新聞に目を通す。「ひなちゃん、かわいいねえ」と一言。
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・・数日後、また早くに目が覚めた。
すでに新聞は届いていた。
ガサッというので見ると新聞はビニールに入れられ、その表面には、いくつかの水滴。
「雨、か・・」暗い空を見上げる。
そして私の記憶が一気に20数年前へ飛ぶッ!
まだ中学生だった僕は、アルバイトで新聞配達をしていた。
60件くらい配っていたと思う。
おや、少ないなと思われる方もいるだろう。
大手新聞社だったが、僕が住んでいた地域ではマイナーな存在だったので、購読者の
家が飛び飛びということもあり、あまり件数をこなすことができなかった。
非常に強い風と雨を伴う台風が接近しつつあった、ある朝。
配り始めてすぐの所にある購読者の家のポストに新聞を入れた瞬間、「バシャーン」と
大きな音がした。
嫌な予感がして急ぎ戻ると、強風にあおられ倒れた自転車。
そして、半分くらいの新聞が方々へ飛び散っていた。
(僕は、雨の日は、ある程度の新聞は販売店で一部一部ビニールに入れておき、残り
は途中で雨宿りしながらビニールに入れ、配るというスタイルをとっていた)
すぐに自転車をおこし、新聞をかき集める。
「ああ、最初から全部ビニールに入れてくればよかった」と思ったが遅い。
強い雨と風、濡れた新聞。指先は冷たく、感覚があまりない。
僕は怒られると思い、交換をしに販売店まで戻らず、そのまま、配り続けた。
濡れ方のひどい新聞は(少しでも乾くのを期待し)後回しにしたが・・。
翌朝、販売店の人は僕に何も言わなかった。
苦情が1件も無かったのか、それとも、交換してくれと連絡があって配達しなおして
くれて、あえて僕にそのことを言わなかったか。
台風ということで購読者のお客さんが大目に見てくれたのか・・。
時代は今に戻って。
きちんとビニール袋に入った乾いた新聞を手にし、目に涙をためている自分がいた。
冷たい雨の中、さぞ寒かったでしょう、本当にご苦労さまです。
私は、配達員の方が残りの仕事を無事にこなせるよう心の中でそっと、手を合わせた。