石田 外茂一(いしだ ともいち)という人物がいた。
明治34年生まれ。
英文学を勉強したが、一生を俗世間に抵抗しながら生き抜く。
彼の遺したことばをご紹介します(以下本文)
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王様でも乞食でも大人でも子供でももっていて
与えても与えてもなくならないモノをご存知ですか? なくならないどころか
与えれば与えるほど沢山になるモノをご存知ですか?
その沢山になり加減が山とも海ともたとえようのない程で
そんなに沢山になってもいれ物もなしに
あなたがもっていることのできるモノを御存知ですか?
おじいさんもおばあさんもお父さんもお母さんも
誰れでももっていることができるけれども
ただ残念なことには
時によるとそれを与えない人があります
与えないからして無いほどしかもっていない人があります
―――そんなモノを御存知ですか?
わかりましたか そうですそうです よい言葉です
親切な言葉です やさしい言葉です 温かい言葉です
なさけ深い言葉です 明るい言葉です
人を励ます言葉です 力強い言葉です
命を吹き込む言葉です
それを言うことによって 人をよくし同時に自分もよくなる言葉です
頭もよくなります 体もよくなります 病気もなおります
勿論心もよくなります
どうしてよい言葉がそんなによいかというと
よい心とよい行いとをシッカリつないでいるからです
どんな時でも 与えるモノをもっていないと思いなさるな
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(C)季刊「銀花」
第二十七号 1976年 特集ページより、本文のまま引用しました
※季刊「銀花」は、2010年2月発売号で休刊となりました。
日本の美意識、手仕事を発見し、育てた数少ないメディアでした。
いつか、復刊することを願って。
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